龍神のとりこ
「俺を石化させてた呪縛を解いたんだ。お前も何か、力を秘めてるかもしれないだろ?」

立ち上がり際、コハクのきれいな顔がトーコに近づいた。
「ぁ、、」

ちゅっと音を立て、くちびるが触れた。
あまりに自然な流れにトーコは交わすことができなかった。

目を見張り、妖しく微笑む龍神を見上げる。
出遅れた両手で口元を覆っている。
「ん、やっぱり巫女じゃないな。」
トーコは数歩後ずさった。

「ま、また試したの?!」
顔じゅうが真っ赤だ。

「巫女じゃなくても、何かの力を持っているのかと思って。」
コハクはぺろりとくちびるを舐めた。

トーコはまた後ずさる。
「そこ、うしろ!」
「きゃっ!?」
コハクの声にトーコは怖さでコハクの胸に飛びついた。



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