龍神のとりこ
ジンは急いだ。

シオウの元を出るなり、コハクの微かな気配を頼りに跳んでいく。
龍神のように飛べはしないが、跳躍は人間の比ではなかった。

それもシオウと交わってから身についた力だった。

いる。
確かにコハクは石化から蘇った。。

微かに伝わってくる彼の気配に
ジンは身体中の血が騒ぎ出すようだった。



ほしい、、、


コハクがほしい、、、





だが、ふと、足を止めた。


まだだめだ、、、


興奮で震える肩を押さえる。
その皺だらけの手を見つめる。。



唇を噛み、ふっと笑うようだった。



そして今度はゆっくりと、

来た道を引き返していった。
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