龍神のとりこ
静寂しか聞こえない。

シオウは数日戻らないジンをじっと待っていた。
彼女を束縛する気はなかった。
今までうまくやってきていた。

だが、初めて戻らない愛しい人。

歳月を重ねすぎた、と憂えていた、、


見た目がなんだ?何に構う?


シオウの喉が震え、絞り出すような声が響く。


ジンのいない寝床でシオウは一睡もできなかった。

重たくなる瞼。。



突然びりっと感じた。

若いころのジンの気配。


そして、、彼女のすぐそばに一気に熱を帯びるもうひとつの気配。。
昔、自分が追いやった若造、、コハク!

老いた龍神はかっと目を見開いた。
身体中に一気に血が駆け巡った。


ジンが石化させ、追いやり切れなかった。
それを一瞬にして後悔した。


咆哮が轟わたる。
大地が揺れるような咆哮。


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