あなたのヒロインではないけれど
「ああ、美味しいねえ……本当にありがたいよ」
何でもない雑炊なのに、おばあちゃんは涙を流しながら喜んで食べてくれた。
「優しい孫ばかりでわたしは幸せだよ」
「そう? 健太(けんた)兄さんはぶつぶつ文句言ってたけど。カノジョのプロポーズの予定がだとか……痛!」
「おい、変なこと言うな!」
さくらお姉ちゃんの脛を、健太お兄ちゃんはつねってた。痛そう……。
「ほっか……健太、すまんねぇ。大事なぷろぽーずを邪魔してしまって」
「い、いいよ! プロポーズはまたいつでもできるし……それよりばあちゃんの体だろ。明日は午前中なら手伝えるから」
おばあちゃんが謝ってくると、耳まで真っ赤になったお兄ちゃんは、しどろもどろに言い訳。そんな兄にさくらお姉ちゃんがニヤニヤしてる。
「プロポーズってタイミングと勢いが大切なの知ってたぁ? お·に·い·さ·ま!」
「知るか、 バカ! おまえこそ今のカレに逃げられないようしっかり捕まえとけ」
「ふふん、良いの~サブローは気心が知れた中学時代のクラスメートだから。アタクシの本性も含め全て承知済みざます~」
「どこのマダムキャラだ、お前は」