あなたのヒロインではないけれど







「13話までのアニメの視聴率が出たヨ」


11月に入ってすぐ、ネイサンさんが資料片手に報告してきた。誰もが仕事の手を止め、会議室はシンと静まり返ってた。


それはそうだ。いくら視聴率が安定している人気の番組中とはいえ、今は飽きられたらすぐチャネルを変えるかテレビを切られる時代。出だしは興味本意で見ても、持続して数字を出すには本当に面白くないと。


企画の発案者としては、どうしても気になって、そわそわというよりもハラハラする。ゴールデンタイムでもない、朝の忙しい時間帯でどれだけ数字を出せるか。これによって今後の展開に影響が出るのは間違いない。


ネイサンさんはパラパラと書類を捲る。そして、数字を発表した。


「1話は3.8%。2話2.9%。3話2.3%……」


読み上げられる度にどんどん下がる数字を聞いて、がっくりと肩が落ちる。


(やっぱりダメだったのかな……子どもだけでなく大人も楽しめる子ども向けの作品を……なんて)


最低の1%切れを聞いた時、もう止めてと耳を覆いたくなった。


だけど……


6話のそれを経た後……不思議と数字は徐々に回復して。13話……ワンクールが終わる時、なんと1話よりも数字が上回っていた。


「5%越え……朝の子ども向けで?マジかよ?」


結城さんすら、信じられないと呟いた。私はよくわからなかったけれど、どうやらすごいことらしい。

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