あなたのヒロインではないけれど
「今なんてゴールデンタイムでよほどの安定した人気作でもない限り、アニメで10%も取るのは難しいのよ。ましてや朝の子ども向けでそれは奇跡的な数字なの」
仲田さんが説明をしてくれて、ようやくどれだけ凄いことか実感が湧いてきた。
「フフン~ボクがインターネット含むメディア対策したお陰ネ」
ネイサンさんが鼻高々になっていたのも道理。どうやら彼は動画サイトで独自のPVや編集した動画を公開したらしい。顔見知りの記者に記事を書かせたり、テレビ番組で短くとも取り上げさせたり。その成果が出たということ。
……そういえば。ネイサンさんはここ1ヶ月ほとんど顔を見なかったけど。そのためだったんだ。
「ライアン、よくやったな。後で飯でもおごってやるよ」
どん、と結城さんに背中を叩かれ、ネイサンさんはゴホゴホと噎せた。
「トモノリ、バカヂカラ止めて! セボネ折れちゃうヨ」
「なぁに言ってんだ~そんなに華奢かおまえは。ホレホレ」
「ヤメテーボクはゲイじゃナイよ!」
結城さんがこれ見よがしに両手を広げ突進すると、ネイサンさんは悲鳴を上げて逃げようとする。でも、結城さんはがっちりと抱きついてしまった。
「……BLやるならよそでやって」
仲田さんの冷たい視線を浴びつつキツイ叱責を受けた二人は、なぜか床に並んで正座させられてた。