男装少女争・奪・戦 ~男子校とか無理だから!!~ 【完】
けれどこの時の俺はあることを忘れていた

怒りと決意に燃えていた俺は完全に冷静さを欠いていた

今は八月

そして地球温暖化が進んだ今日このごろ

八月は充分過ぎるほど



あっちいんだよ!!



ひたいから流れ落ちる汗は拭っても拭ってもポタポタとあごの先から流れていく

うっぜぇ……

このままだと熱中症にも気をつけなきゃなんないし……

……今年の夏、エアコンをガンガンにして寝てた俺を呪いたい

なんて、考えられたのもつかの間



フラリ



「ほよぉ!?」

目眩がして倒れそうになり、素っ頓狂な声をあげてしまった俺

マ・ズ・イ

聞いてたやつは、いないと願いたいんだけど……

いっぽいな、うん

向こうの方からバタバタという足音がする

ここにいたら捕まるのも時間の問題

どうすればいいんだ!?

周りを見回す

すると見えたのは……

障子のついた部屋?

ここなら障子を閉めりゃぁバレないんじゃね

さっきの足音が大きくなる

もう一か八か

ここに隠れよう

俺はその部屋に人がいないことを願ってそっと障子を開けて中に入った



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