男装少女争・奪・戦 ~男子校とか無理だから!!~ 【完】
「……つうか、空欄多ッ」

答え合わせをしようと赤ペンを持ち、解答を見たのだが、

「半分もやってねぇし」

聡の言葉通り

うめてあるのは四問だけ

仲間だ! 仲間がいたのだ!

「じゃあまず一問目~」

にやけそうになるけど我慢我慢

「……これ、漢字?」

「そこは言わないで……」

「なんだよこれ」

「ケホッ…コホッ……」

タコ、笑う前にむせるな

そしてそこまで笑えることじゃないだろう

「『嵐』の上のところは『山』だよ……」

心の解答の『嵐』は上が『くさかんむり』

……似てないことはない……ような気もしなくもない……のか?

「さ、さあ次行こう。次」

二問目、三問目は空欄なので一気に四問目だ。

「消防団員が『ショウカカツドウ』を行う」

これはきっと合っているだろう

そう、合っているのだ。たぶん……

「……は?」

合ってない……

「これはねぇわ」

聡、心があまりにも可哀想だからヤメテ……

「『消化活動』はねぇわホント
普通に考えて消防団員がすんのは消火活動だろ」

「聡ぅうううう!!
今は正論を言っちゃいけない!
確かに一般的には心の解答はおかしいけど……
ホ、ホラ、消防団員だって飯は食うだろうし……それに……」

「みっちゃん?」

頑張って心のフォローしてたらなぜか本人に真っ黒い笑顔で止められた。

俺……心の味方してたよね?

「次、うん、次だ」

理不尽さを感じつつも怖いため次へ。

聡、何も言うなよ

どんなにおかしくとも言わないでくれ

「……あれ、間違ってない……」

ドキドキしながら解答を見る。

けれどもどこも間違っていない。

「正解……?」

解答に書かれた文字は『源』

実際の答えも右に同じ

……よかった

ホッと胸をなで下ろす

……あ、あと一問残ってた……

ここまでで終わりっていうのはナシですか?

ナシなんだろうけどさ

うん、黒い笑顔は要りません

欲しくないです本当に

お願いだから、まともな答えであってくれ

「デパートに『イシツブツ』の問い合わせをする」

おそるおそる解答をチラリ

……これは

「どんなやつ?」

聡、見るな!

絶対見るな!!

「『異質物』って怖えよ!」

ツッコミも入れるな!!

「どんなデパートだよ!
異質物の問い合わせって
んな危ねぇデパート誰も行かねぇわ、マジで」

聡、デリカシーを考えて

お前に『マジで』と言ってやりたい

「みんな出てって……」

どす黒い……

「聡、あとで一発殴るから……」

「は? 何でだよ!?
野田、お前だって似たようなモン……」

「早く出ていって?」

心がブチ切れてる……

「心、悪かった。謝るから。このとーり
だから、な」

胸の前に手を当て『ゴメンね』のポーズ

「うん、出て行こ?」

「心ぉぉ……悪かったってばぁ……」

心……いや、御子柴家族だけは絶対に怒らせちゃいけないと学んだのだった。



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