男装少女争・奪・戦 ~男子校とか無理だから!!~ 【完】
「俺は五歳の時まで、沖縄に住んでいたんだ」

「沖縄ってあの沖縄!?…ですか?」

あのも何も沖縄といったらそれしかないとは思うけど

鹿島先輩と沖縄があまりにもつながらなかった。

勝手なイメージだけどもね。

「ああ」

「じゃあ鹿児島には何で……」

「母親が殺されたからだ」

は?

ハハオヤガコロサレタカラ?

コロサレタ?

鹿島先輩の淡々とした声は俺を逆に焦らせた。

冗談ですよね?

『死』なんて俺には全く想像出来ないことで

ましてや『殺された』

そんなの異世界のことにしか思えない。

「逆上したアメリカ兵に殺された。
俺の目の前で」

「そんな……
ひどい……」

俺がつぶやくと、鹿島先輩は首を横に振った。

「全て俺のせいだった」

「え?」

「相手を逆上させてしまったのは俺だから。
我ながらなんて馬鹿なことをしたのだろうと思う。
……ここから先は、女である君が聞くには少し酷なものになる」

それでも聞くか?

鹿島先輩は俺に問いかけた。

「……俺はもう
聞くって決めました
だからどんな話でも……聞きます」

軽く上を見る

少しでも緊張をほぐせるように

木に引っかかり、ゆらゆらとゆれる風船が目に入る。

俺は深呼吸をしてから鹿島先輩に向き直った。






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