終わらない英雄の記憶
私は拳を打ち、なるほど、と頷いた。



うん、私にはそんな考えは浮かばないな。


さっすが、神様だねー。


『早くしないと誰かにバレるぞ』



神の声で、止まっていた手を動かし出す。


図書部屋では、ペラペラと紙のめくる音だけが響いていた。



「これは他国が欲しがるわな」


戦闘技術も何もかも他国より上のミドル王国の情報は、死んででも欲しがる。



最後まで読み終わった私は、その資料を元の場所に戻した。



ニヤリの口角を上げて言った。



「やれるものならやってみろ」



そして私は、図書部屋の扉を閉じた。



敵の宣戦布告を受け取るかのように。
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