終わらない英雄の記憶
そんなフィンは、私が乗せてあげたタオルを取り、私と向き合うようにして起き上がった。



「マディー…」



「な、何……?」



熱を持っているためか、私を覗くフィンの瞳は潤んでいた。



妙に色っぽいというか、色気が溢れ出ているというか。



「俺、マディーの事が好きだ」



「へ…?」



また寝言でしょう。



私は自分の頬を強くつねる。



「い、痛い……」



赤くなってジンジンと痛む頬に、フィンの手が滑るように寄り添った。
< 110 / 134 >

この作品をシェア

pagetop