終わらない英雄の記憶
「それで、国に迫っている危機は…?」



これは言ってもいいのだろうか…?



王族だとはいえ、これは単に未来予知であって、現実では起こらない可能性だってある。



『言ってはいけない。王族なら尚更な』



ほら、神もこう言っている。



「残念ながら、そのことは言えない」



私の冷たい声が、部屋に溶け込む。



その間、部屋は時計の音しか鳴っていなかった。



「いつかわかるよ。必ずね……」



私は少し微笑んで、フィンの肩を押し倒した。



「はい、フィンはまだ風邪なんだから寝ていてよね」
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