終わらない英雄の記憶
フィンの手に握られていたタオルを取り出すと、そのタオルは暖かくなっていた。



それはフィンの体温が上昇している証拠でもある。




私は急いでタオルを絞り、フィンの額に当てた。



「ほらまた熱が上がってきちゃった…。今度こそ大人しく寝ていてよね」




布団をフィンの首元まで掛けると、フィンはすぐに寝息を立てた。




その様子を見て、ほっと安堵の息を漏らす。



そしてだんだんと頭が重くなり、グワングワンと視界が揺れる。



そして私の意識は途切れた。



その光景を影で見ていた人なんて知らずに。




その人が笑っていた、なんて知らずに。
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