終わらない英雄の記憶
私は牢を握りしめるタユさんの手を、自分の手で包み込んだ。



「タユさん、ごめんなさい。これが最後の私のお願いになっちゃうの…」



タユさんは近くに立っていた騎士を外に追い出して、座っている私と目線を合わせるように座った。



「この手紙を届けて欲しい。私の住所は王にでも聞けばわかるよ」



私は微笑んで言った。



「タユさんには幸せになって欲しい……。だから、目の前の真実に目を背けないで……」



この真実は、タユさんにはとても辛くなるはず。
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