終わらない英雄の記憶
「今までありがとう、ずっと、ずっと大好きだからね?」



「どうして、そんなに別れの言葉みたいになるのよっ!!」



タユさんの目からは涙がこぼれ落ちる。



でも、それを拭うのは私の仕事じゃない。



だって私は、もうすぐ居なくなってしまうのだから……。



「時間だ」



外に出ていた騎士は、涙を流すタユさんの腕を掴んで外に出させた。



その間タユさんはずっと泣き叫んでいた。


でも私はそれを無視してしまった。



タユさんが出て行った後も、静寂は消えたりはしなかった。
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