終わらない英雄の記憶
涙の混じった、掠れた声が余計私の神経を興奮させる。



さよならなんて、したくないよ……。



涙が、止まりたくても溢れ出る。



幸い目をタオルで隠されているため、涙がタオルに吸収されている。



きちんと自分の言葉で、伝えたいこともあった。




きちんと自分のこの手で、犯人を捕まえたかった。



どうして、自分はこんなにも無様なのだろう。



どうしてこんなに自分は、無力なのだろう。



騎士たちが立ち止まり、私の目を隠していたタオルを外す。



すると、明るい光と集まる国民が入った。



そこには私の予備のフードを握りしめるアニさんの姿もあった。
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