終わらない英雄の記憶
私は箒を、ナルビさんは塵取を、タユさんは花に与えた水の入ったバケツを持つと、即座と自分の仕事に取り掛かった。



「サンダー王子のお通りです」



タユさんの声に裏庭にいた人たちは、皆第一王子、サンダリール・キール・ケルベロスの通る道の端に並び出す。



「やあ諸君、お疲れ。これからも引き続き頑張って欲しい」



「我々にとってありがたきお言葉」



ウムと、サンダー王子は頷いた。



「では、私は街へ出掛けてくる。この事は皆にご内密にな」



サンダー王子は、羽織っていた布のフードを被り裏庭を抜けて行った。
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