終わらない英雄の記憶
しかし王の話は俺の予想に反し、突然立ち上がったと思ったら頭を深々と下げていた。



「すまない。いや、すまないだけでは収まらない」



俺とサンダーは顔を見合わせ、驚いた。



「家族を、息子を傷つけてしまってすまない。
これは言い訳になるかも知れないが聞いてくれないか……?」



王はまだ頭を下げたまま、ポツリポツリ、雨が降るように話し始めた。



育児をしていた母が亡くなり、どう育児していくかわからなくなってしまい、こうなったこと。



自分の不器用で、俺らを傷つけてしまったこと。



愛を言葉にしなかったこと。
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