愛を、ください。
世間は広いようで狭く。
───今日は久しぶりの雪。昨日の夜中から降り続き、結構積もっている。
予定は午前10時。
今は10時30分。予定を30分オーバーしているわけだけど。
「んなぁ、遅くね?」
「…。」
あいかわらず、藍は口数が少ない。まぁ、まだ一週間もたってないしな。想定内なわけだが。
「なぁ、返事ぐらいしろよー」
一人で喋ってるのは虚し過ぎる。藍は俺が怒っていると思ったのか、体を揺らした。
藍の扱いにはまだ慣れない、なんて思っているとインターホンが鳴って。
ドアを開けようとすると、藍は俺の服をぎゅっと小さく握った。
「悪いやつじゃないから。大丈夫。」
そういうと藍は部屋の端っこに逃げて行った。
ドアの鍵を開けると、茶髪のイケメンが頭に乗った雪を払っていて。
「悪い!道混んでて遅くなっちまった!」
「いや、俺が無理言ったし。それに、悪りぃな。休みなのに呼び出して。」
「いや、別に暇だったし。それより拾ったっていう人はどこ?」