愛を、ください。
「は?同じ施設って。お前、施設育ちだったのかよ!?」
「あれ?言ってなかったっけ?まぁ、俺は途中で違う施設移ったんだけど。」
「本当なのか?」
「唯人、さん、だけ施設で、話してくれた…」
「はぁ…。話は後でゆっくりしよう。とりあえず藍の怪我を手当てしてくれないか?」
藍と唯人のことは気になるけど、今は治療が最優先だ。
わかった、といって再びバッグを漁る。でてくるのは知らない道具ばかりで。
袖をめくってでてきたのは、痣や刺し傷。それもザックリと深くまで刺されたようなものばかりだった。
唯人は驚きをショックを隠せないようで、顔を歪ませていた。
「…なぁ、お前こんなんなるまで何処にいたんだよ。施設から何度も出てたけど、こんな酷くなかっただろ?」
「…。だいじょ、ぶ。」
はぁ、と溜め息をついてバッグを片付ける。
「多分このまま毎日ガーゼと包帯取り替えれば大丈夫だと思うけど、もしなんかあったら、ちゃんとした医者行って。」
手当てを終わらせ、藍をベッドへ寝かせる。いくら知っている人であっても、対人恐怖症の藍には疲れるのだろう。