愛を、ください。
「んで。詳しく教えて欲しいんだけど。」
「えーと…どれから?」
はぁ。ほんとこいつとは話が成り立たねぇ。
「じゃあ、まずお前と藍の関係を。‘‘詳しく’’教えろ。」
「あぁ、分かったよ。…俺と藍は同じ施設で育った。その施設はとても人数の規模が多くて、施設側の人も俺たちに優しくはしてくれなかった。ただお金を貰うために働いている、そんな様子だった。そして、控えめで静かな藍は虐められてたってわけ。そこで、好奇心旺盛な俺は藍に話かけ続けた結果、少し仲良くなれたってことだよ。」
「藍は何度も引き取り手が現れた。その度に捨てられ、施設に戻ってきた。それを施設側は煙たく思っていてさ。でも、その頃、俺も違う施設に移って…。ずっと、心配だったんだ。」
最後のほうは泣くのを堪えている感じで、辛そうだった。
「施設、ってどんな感じなの?」
「俺は少ししかいなかったけどあの施設は最悪だった。教育なんてしな
いし、ぜーんぶほったらかし。飯を与えてるだけだよ。だから藍、言葉知らないだろ?」
「藍はずっといたのか?」
「たしか、藍は産まれてからずっと施設だよ。親が捨てたっぽいし。」
唯人の話を聞いてると、ふつふつと怒りが湧いてくる。
「じゃあ、藍の年齢とかも分かったりするのか?それと苗字。それだけ分からなかったんだよな。」