愛を、ください。
目が覚めたら、高木さんはいなかった。けれど、扉の向こうからトントンという音がする。
少しだけ頭が変なの、なおったかも。
そう思い、ベットから起きようとしたが、脚に力が入らなくて。膝からカクンと落ち、床に倒れかけた。
「藍、大丈夫か?」
扉の向こうから高木さんが来て。開いたままの扉の方からいい匂いがした。
「だいじょ、ぶ」
「無理にベッドから降りなくていいよ。悪夢はみなかったか?」
「あ、くむ?」
「悪い夢とか、怖い夢のことだよ。今震えてないから大丈夫そうだな。」
「う、ん」
そう言うと、うでを支えて立ち上がらせてくれた。そして、ふわっと宙に浮く。
「え、高木、さんっ…」
「これ以上怪我増やされても困るしな。今のだって膝、赤くなっちゃってるし。お粥作ったから食べられるだけ食べよう。」
そう言うと、私を持ち上げたまま違う部屋に移る。おちるのが怖くて、少しだけ手に力がはいった。
ふかふかのソファに降ろされると、高木さんはキッチンの方へ向かった。