愛を、ください。
そう思うと本当に迷惑かけてるなって。でも、高木さんは全くそんな素振りをしない。
それが余計申し訳なく思って。
…ちゃんとお礼しなきゃ。
全てを食べ終え、ご馳走様でしたというと食器を運ぼうと立ち上がる高木さんの袖を少し引っ張る。
「どうかした?」
「...あの、やっぱりお礼したいっ…いつも高木さんは助けてくれるから。わたしも、ちゃんと高木さんの役に、立ちたい。」
そう伝えると、何かを考える素振りをする。
「藍がちゃんと風邪を治して、怪我も治して元気になってからがいいな。本当はその想いだけで十分なんだけど、また自分は迷惑とか言って行方不明になっても困るしな。」
そう、笑いながら頭を撫でてくれた。高木さんの手は大きくて、温かい。
早く治して、お礼をしなきゃ。
食器を片付けてくれた高木さんにありがとうと言うと、少し横になってろって言われた。
もう時刻は11時半。ぼんやりと外を眺めながらふと、昔を思い出した。
...今頃、ご主人様のお昼ご飯を用意して、掃除をして。こんな暇なかったなぁ。
…いいのかな。
何度もそればかり思って。私にとって何もしていない時間の方が考えることが多くなってしまい、不安になる。…でも高木さんは私が迷惑って思うことを嫌う。
...高木さんには、嫌われたくないな。
そう思う私がいて。それも不思議に感じた。...今更人に嫌われたくないとか、尽くしたいとか。
そう言う感情ばかりが浮かんでは消えて、心臓がドクドクうるさかった。