これからもずっとずっと

時間はどんどん進み、次の時間は体育だから体育館へ向かった。

「じゅり、今日、木下いないらしいよ?」
「え、じゃあ誰くんの?」
「…さぁ?」

体育の先生が休みと知って誰が来るのかそわそわしながら着替えを済ませた。

早々と着替えを済ませ、更衣室から出ると、もう既に代わりの先生が来ていた。

「整列!」

その先生の号令の通りみんなが二列に並ぶ。

「えー、今日は木下先生はお休みです、俺のこと知ってる人の方が少ないだろうけど…。2年生の女子体育もってます、熊谷です、よろしくお願いします。」

熊谷先生の挨拶で「よろしくお願いします」とみんなが言う。

「えっと、意外と老けて見られるんだけど、先週で23になりました、」

見えない!意外!おめでとう!などと口に出す生徒がいる中、
「早速だけど…木下先生からバドの試合してくれってことだったんで、チーム分け発表して、試合してもらいます」

そして、チーム分けで名前が呼ばれ、「始めていいよー」というゆるい合図で試合が始まった。

中学の時バドやってたわけじゃないけど得意な樹梨は、もちろん無敗。
つまんないなって感じるくらいだった。

ふと、隣のクラスのコートに目をやるとバド部2人と先生が闘ってた。

二人相手に互角で戦ってる。

「すご…。」
思わず息をのんだ。
かっこいい…
そう思った。

試合が終わりどうやら先生は負けたらしい。

先生と目が合い、こっちにやって来る。

「ダブルスしよ」

咄嗟に言い、

樹梨&愛結VSクラスの女子二人
でやり始めた。

愛結は運動が正直あまり得意ではない。

けど、相手2人も上手くない。
これじゃ試合にならない…と考えてたら、相手チームの1人が抜けてしまった。

「じゃあ、愛結あっち入ってくれる?」
「あ、うん、いいよー」

「いいよ、そのままで。俺はいる」

低くて、落ち着いた声。

「え、先生入るの?」
「うん、だめ?」
「ダメじゃないけど…」

私は乗り気じゃなかったものの、本気で挑むことにした。

両者一歩も譲らずって感じ。
互角で戦えてる。

スマッシュはいい感じに決まってるし、愛結のカバーにも入れてる。
けど、

スパンっ!

先生が放つスマッシュ。
スピードも角度も放つ位置も。
全てにおいてずるい。

未経験な私に容赦なく鋭いスマッシュを放ってくる先生は大人気ない。

「次とった方が勝ちね!」
先生が言った。

「…絶対とる。」

スパンっ

「あ〜、くそっ!」

放ったスマッシュが見事に先生の元に落ちた。

「やった勝った!」
愛結とハイタッチをした

本気で悔しがる先生は、まるで子供みたいで。

可愛いなっておもった。

ただそれだけだった。

そのときは。。。
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