恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
プロローグ
比嘉 海斗 様
まずはじめに、ごめんなさい。
こんな事になってしまったのは全部あたしのせいです。
海斗から記憶を奪ってしまったのは、あたしなのだと思います。
そんなあたしがいつまでも海斗を想っていてはいけないのだろうけど。
でも、どんなに小さくても可能性があるのならとおばあに全てを託す事にしました。
信じて欲しいって海斗が言っていたから。
奇跡を信じてみようと思って。
たった数ヶ月だったけど、海斗と過ごした時間はあたしの宝物です。
気付けば、あたしの毎日は海斗でした。
あたしのまわりに吹く風はいつも青くて透明でした。
クリアブルー色の風。
いつか教えてください。
もし、奇跡が起きるのなら、そのとき聞かせてください。
あの時、海斗が書きかけにしたままのメッセージの続きを。
もうひとつだけ。
もし本当にあたしたちの恋に奇跡が起きるのなら。
いつか、あたしを迎えに来てください。
その時は、一緒に雪を見に行きましょう。
海斗。
好きです。
愛しています。
最後に。
海斗。
大切なあなたに幸せが訪れますように。
カフーアラシミソーリ。
須藤 陽妃
P.S
あたしたちの恋、約束の場所へしまっておきました。
青くて透明なホタルと一緒に。