恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
「……分かった。小春に確認して返事する」
ブレンドをちゃっかりご馳走になってから店を出ると、外はすっかり暗くなり、気温もぐっと下がっていた。
「さむっ」
雪でも降ってきそうな寒さだ。
ふーと吐き出した息は白くけぶり、お洒落な通りに消えてしまった。
白いコートに身を縮込めて歩き出した時、携帯が鳴った。
『あ! 出た出た! お疲れ様です』
いま店を閉めたばかりだと言う小春からだった。
『まだ青山のお店ですか?』
「今ちょうどカフェを出たとこ」
『今、話しても大丈夫ですか?』
「うん。どうかしたの?」
『今夜、何か予定入ってたりします?』
「特にないけど」
『良かった。実は今、堀北さんと一緒なんですけど』
「堀北さん?」
あたしが高3の夏休みにお世話になった堀北さんだ。
『はい。陽妃さんが出て行ったあと、お店に顔出してくれて。久し振りだったから妙に盛り上がっちゃって』
大学卒業後、介護福祉関係の仕事に就いてからも、堀北さんは時々トルテに顔を出してくれる。
それで、たまに店が終わったあと飲みに行くようになったのだ。
ブレンドをちゃっかりご馳走になってから店を出ると、外はすっかり暗くなり、気温もぐっと下がっていた。
「さむっ」
雪でも降ってきそうな寒さだ。
ふーと吐き出した息は白くけぶり、お洒落な通りに消えてしまった。
白いコートに身を縮込めて歩き出した時、携帯が鳴った。
『あ! 出た出た! お疲れ様です』
いま店を閉めたばかりだと言う小春からだった。
『まだ青山のお店ですか?』
「今ちょうどカフェを出たとこ」
『今、話しても大丈夫ですか?』
「うん。どうかしたの?」
『今夜、何か予定入ってたりします?』
「特にないけど」
『良かった。実は今、堀北さんと一緒なんですけど』
「堀北さん?」
あたしが高3の夏休みにお世話になった堀北さんだ。
『はい。陽妃さんが出て行ったあと、お店に顔出してくれて。久し振りだったから妙に盛り上がっちゃって』
大学卒業後、介護福祉関係の仕事に就いてからも、堀北さんは時々トルテに顔を出してくれる。
それで、たまに店が終わったあと飲みに行くようになったのだ。