恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
「いくらかは落ち着いた?」
律子おばさんが作ってくれた親子丼をちょこちょこ食べながら、あたしはこくりと頷いた。
「律子おばさん」
一度箸を置いて、あたしは正座をして改まった口調で言った。
「明日から出勤します。それと、北海道に行きます」
「そう」
「でも、お願いがある」
まだまだ蒸し暑い風がカーテンをパタパタはためかせる。
「あたしの力で北海道のトルテを軌道に乗せることができたら、その時は辞めさせてください」
数分の長い沈黙のあと、律子おばさんが豪快に笑った。
「分かった。陽妃の好きなようにしなさい」
翌日から、あたしは人が変わったように仕事に打ち込んだ。
シフトなんてまるで無視。
開店から閉店まで、一心不乱に仕事をこなした。
小春をはじめ、スタッフたちがそんなあたしを見て戸惑っていたのは分かっていた。
でも、お構いなしにとにかく働いた。
9月、10月、11月。
3ヶ月まともに休みをとらず、仕事漬けの日々に体は悲鳴を上げていたけど、休むわけにはいかなかった。
休んで余計なことを悶々と考えて落ち込んでいるより、遥かにマシだった。
夏が過ぎ秋が来て、冬になった。
律子おばさんが作ってくれた親子丼をちょこちょこ食べながら、あたしはこくりと頷いた。
「律子おばさん」
一度箸を置いて、あたしは正座をして改まった口調で言った。
「明日から出勤します。それと、北海道に行きます」
「そう」
「でも、お願いがある」
まだまだ蒸し暑い風がカーテンをパタパタはためかせる。
「あたしの力で北海道のトルテを軌道に乗せることができたら、その時は辞めさせてください」
数分の長い沈黙のあと、律子おばさんが豪快に笑った。
「分かった。陽妃の好きなようにしなさい」
翌日から、あたしは人が変わったように仕事に打ち込んだ。
シフトなんてまるで無視。
開店から閉店まで、一心不乱に仕事をこなした。
小春をはじめ、スタッフたちがそんなあたしを見て戸惑っていたのは分かっていた。
でも、お構いなしにとにかく働いた。
9月、10月、11月。
3ヶ月まともに休みをとらず、仕事漬けの日々に体は悲鳴を上げていたけど、休むわけにはいかなかった。
休んで余計なことを悶々と考えて落ち込んでいるより、遥かにマシだった。
夏が過ぎ秋が来て、冬になった。