恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
やっぱり札幌に比べると格段に暑い。
表参道を歩きながら、額に滲む汗をハンカチで押さえた。
もう、夏本番だ。
街路樹の葉が夏の陽射しを浴びて、深緑色に艶々と輝きながら風に揺れている。
午前11時。
「堀北さん」
ダークネイビーブルーのフォーマルワンピースに身を包み、青山のアトリエに到着したあたしを、
「須藤!」
入り口の外で受付していた黒いサマースーツ姿の堀北さんが、笑顔で迎えてくれた。
「久し振りだな」
「お久し振りです」
「待ってたよ。思ったより元気そうで安心した」
「心配かけてすみません」
あたしは苦笑いしてから、丁重に会釈をした。
小春はまだ来ていないようだった。
「本当に今さっき、羽田から向かってるって電話があったから」
昼前には着くと思うよ、と堀北さんが腕時計を確認してサインペンを差し出してきた。
「ご芳名をお願いします。来場者に礼状を送りたいから。もし差し支えなければ」
「はい」
ノートに名前と住所を記帳し、アトリエの中を覗き込む。
予想を超える混雑ぶりに驚いた。
「すごい。けっこう来場者いるんですね」
ざっと数えただけでも3、40人は居そうだ。
「ああ」とあたしからペンを受け取り、堀北さんもアトリエの中を覗いて微笑む。
「ネットにも載せたから。その影響力が大きいのかな」
達成感に満ちた表情で堀北さんが続けた。
表参道を歩きながら、額に滲む汗をハンカチで押さえた。
もう、夏本番だ。
街路樹の葉が夏の陽射しを浴びて、深緑色に艶々と輝きながら風に揺れている。
午前11時。
「堀北さん」
ダークネイビーブルーのフォーマルワンピースに身を包み、青山のアトリエに到着したあたしを、
「須藤!」
入り口の外で受付していた黒いサマースーツ姿の堀北さんが、笑顔で迎えてくれた。
「久し振りだな」
「お久し振りです」
「待ってたよ。思ったより元気そうで安心した」
「心配かけてすみません」
あたしは苦笑いしてから、丁重に会釈をした。
小春はまだ来ていないようだった。
「本当に今さっき、羽田から向かってるって電話があったから」
昼前には着くと思うよ、と堀北さんが腕時計を確認してサインペンを差し出してきた。
「ご芳名をお願いします。来場者に礼状を送りたいから。もし差し支えなければ」
「はい」
ノートに名前と住所を記帳し、アトリエの中を覗き込む。
予想を超える混雑ぶりに驚いた。
「すごい。けっこう来場者いるんですね」
ざっと数えただけでも3、40人は居そうだ。
「ああ」とあたしからペンを受け取り、堀北さんもアトリエの中を覗いて微笑む。
「ネットにも載せたから。その影響力が大きいのかな」
達成感に満ちた表情で堀北さんが続けた。