恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
「本日は榎本潤一の追悼個展にご来場いただき、誠にありがとうございます」
向こうを見ると、堀北さんが主催者代表として挨拶に立っていた。
「この度、皆様の温かいお力添えをいただき、榎本潤一追悼個展を開くことが出来ました。ご家族、友人、関係者の皆様、誠にありがたく心よりあつく御礼申し上げます」
マイクを通して、堀北さんのクリアな声が響き渡る。
「故人は自身の夢を信じ、未来を信じ、偽りのない真心と信念を持って、ひとすじの道を真っ直ぐに進む誠実な人でした」
言葉にそぐわない真摯な口調で、堀北さんは語り始めた。
「この追悼個展のテーマ【path of sincerity ~真実一路~】。これは、かつて僕が人生と進路に迷っていた時、彼がかけてくれた言葉です」
壇上の堀北さんと目が合う。
「悩み、葛藤していた僕に彼は言いました」
堀北さんはあたしと目を合わせたまま、語り続けた。
「人間は常に選択と決断を迫られている生き物だ。悩み、迷い、葛藤のできない人生ほどつまらないものはない。どんなに辛く苦しくても立ち止まるな、と」
まるで、堀北さんを通じて潤一が語りかけてくれているようで、胸が熱くなった。
そこに、潤一がいるような気にさえなる。
「そして、一度決めたことは最後まで貫き通せ、一度決めた道は突き進むしかない、と。誰に何を言われても自分が決めた道を信じ、胸を張って前に進め」
ざわついていた会場内が水を打ったようにしん……と静まり返った。
「真実一路だ、と」
誰もが堀北さんの挨拶に聞き入っている。
「皆様もご存知のように、故人は風景を愛し、写真を愛し、真実を愛し、何よりも自由を愛する人でした。その生き方は奇抜で、しかし、誰からも愛されるフランクでユーモアな男でした。僕もその生き方に憧れ愛したひとりです」
本当に。
誰からも愛される、不思議な人だった。
向こうを見ると、堀北さんが主催者代表として挨拶に立っていた。
「この度、皆様の温かいお力添えをいただき、榎本潤一追悼個展を開くことが出来ました。ご家族、友人、関係者の皆様、誠にありがたく心よりあつく御礼申し上げます」
マイクを通して、堀北さんのクリアな声が響き渡る。
「故人は自身の夢を信じ、未来を信じ、偽りのない真心と信念を持って、ひとすじの道を真っ直ぐに進む誠実な人でした」
言葉にそぐわない真摯な口調で、堀北さんは語り始めた。
「この追悼個展のテーマ【path of sincerity ~真実一路~】。これは、かつて僕が人生と進路に迷っていた時、彼がかけてくれた言葉です」
壇上の堀北さんと目が合う。
「悩み、葛藤していた僕に彼は言いました」
堀北さんはあたしと目を合わせたまま、語り続けた。
「人間は常に選択と決断を迫られている生き物だ。悩み、迷い、葛藤のできない人生ほどつまらないものはない。どんなに辛く苦しくても立ち止まるな、と」
まるで、堀北さんを通じて潤一が語りかけてくれているようで、胸が熱くなった。
そこに、潤一がいるような気にさえなる。
「そして、一度決めたことは最後まで貫き通せ、一度決めた道は突き進むしかない、と。誰に何を言われても自分が決めた道を信じ、胸を張って前に進め」
ざわついていた会場内が水を打ったようにしん……と静まり返った。
「真実一路だ、と」
誰もが堀北さんの挨拶に聞き入っている。
「皆様もご存知のように、故人は風景を愛し、写真を愛し、真実を愛し、何よりも自由を愛する人でした。その生き方は奇抜で、しかし、誰からも愛されるフランクでユーモアな男でした。僕もその生き方に憧れ愛したひとりです」
本当に。
誰からも愛される、不思議な人だった。