恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
スノウホワイト
24歳の冬に出逢った彼は、口から生まれて来たようなデマカセが得意な人だった。
――この写真。どこで撮ったの?
――ああ、それ北海道。北海道のどこだったっけな。でも、確かに北海道
――この写真の花、何ていう花?
――ラベンダー
天真爛漫で自由奔放な彼は、嘘をつく天才だった。
どれが冗談で、どれが本気なのか分からなかった。
いつも戸惑った。
飄々としていて、つかみどころがなくて、扱いに困った。
――ラベンダー? これが?
――そ。ラベンダー
――嘘つき。またテキトーなこと言って
――嘘じゃないって。本当にラベンダー
――でもこの花、紫色じゃないよ
――白いラベンダーもあるんだよ
――……
――あっ、何、その疑り深い眼差し
――だって、見たことないし。白いラベンダーなんて
白いラベンダーの花言葉を教えてくれた彼は、あたしを雪みたいな女性だと言って、悲しそうに笑った。
大切に持ってると融けちゃうだろ、雪って。そう言って。
――白いラベンダーの花言葉は“あなたを待っています”
彼は突然、あたしの日常に現れた。
高そうな古い型の一眼レフのフィルムカメラを首にぶら下げて。
――この写真。どこで撮ったの?
――ああ、それ北海道。北海道のどこだったっけな。でも、確かに北海道
――この写真の花、何ていう花?
――ラベンダー
天真爛漫で自由奔放な彼は、嘘をつく天才だった。
どれが冗談で、どれが本気なのか分からなかった。
いつも戸惑った。
飄々としていて、つかみどころがなくて、扱いに困った。
――ラベンダー? これが?
――そ。ラベンダー
――嘘つき。またテキトーなこと言って
――嘘じゃないって。本当にラベンダー
――でもこの花、紫色じゃないよ
――白いラベンダーもあるんだよ
――……
――あっ、何、その疑り深い眼差し
――だって、見たことないし。白いラベンダーなんて
白いラベンダーの花言葉を教えてくれた彼は、あたしを雪みたいな女性だと言って、悲しそうに笑った。
大切に持ってると融けちゃうだろ、雪って。そう言って。
――白いラベンダーの花言葉は“あなたを待っています”
彼は突然、あたしの日常に現れた。
高そうな古い型の一眼レフのフィルムカメラを首にぶら下げて。