恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
「どんな人なんですか?」


小春の疑問に堀北さんは生き生きと楽しそうに答える。


「僕も会うのは久し振りなんだ。かれこれ2年ぶりくらいの再会になるかな」


わくわくしたような口調だった。


「型にはまらない、自由きままなノラネコみたいな人だよ。突然現れてぷらっと旅に出て、忘れた頃にふらっと戻って来て。羨ましいくらい自由な人なんだ」


「旅? 仕事は?」


「どう説明しようかな。うーん……夢追い人」


「えー。何それ」


と小春が笑い飛ばす。


「初めて会った時は何てチャランポランな人だって思ったけどね。実際は誠実な人だよ。一度決めたら二度とブレないんだ」


こっそり鼻で笑ってしまった。


遅刻が当然の人間に誠実な人なんているのだろうか。


「とにかく面白い人だよ。会って話せばきっと小春ちゃんも分かるよ」


「へえー。ちょっと楽しみ」


ね、陽妃さん、と小春があたしの肩を叩いた。


「そうだね」


義務的な返事をして、あたしはふらりと席を立った。


トイレに行こうとするあたしを、堀北さんが呼び止める。

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