恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
「大丈夫か、須藤」
「へ?」
「ふらついてるじゃないか。きっつい酒飲んでるからな」
「大丈夫ですよ」
「転ぶなよ」と心配そうな堀北さんに笑顔を返して、トイレに向かった。
「うんわあ……ぶっさいくー」
鏡に映る自分を見て、虚しくなった。
浮腫んで腫れぼったくなった二重まぶた。
酔っ払って崩れ始めたアイメイク。
赤く充血して潤んだ目。
24歳になった今、自慢できることはお酒を美味しく飲めるようになったこと。
ああ。
自慢にもならない。
瞬く間の6年だった。
18歳の春、里菜に切ってもらった髪の毛は、その歳月を明確に物語っている。
顎下までしかなかった髪の毛は6年かけてまた胸本まで伸びてしまった。
これだけの月日をあたしは生きて来たのだ。
この賑やかな街、東京で。
店とマンションを往復の毎日。
仕事をして、休みの日は溜め込んだ家事をこなして、時々お酒を飲んで。
気付いたらひとつずつ着実に歳を重ねて24歳になっていた。
大きな使い道のないお金は、しばらく海外を転々と旅行できるくらい貯まってしまった。
あたしは何をしたいのだろう。
何をしているんだろう。
何を、待ち続けているんだろう。
期待できないことは分かっているのに。
「へ?」
「ふらついてるじゃないか。きっつい酒飲んでるからな」
「大丈夫ですよ」
「転ぶなよ」と心配そうな堀北さんに笑顔を返して、トイレに向かった。
「うんわあ……ぶっさいくー」
鏡に映る自分を見て、虚しくなった。
浮腫んで腫れぼったくなった二重まぶた。
酔っ払って崩れ始めたアイメイク。
赤く充血して潤んだ目。
24歳になった今、自慢できることはお酒を美味しく飲めるようになったこと。
ああ。
自慢にもならない。
瞬く間の6年だった。
18歳の春、里菜に切ってもらった髪の毛は、その歳月を明確に物語っている。
顎下までしかなかった髪の毛は6年かけてまた胸本まで伸びてしまった。
これだけの月日をあたしは生きて来たのだ。
この賑やかな街、東京で。
店とマンションを往復の毎日。
仕事をして、休みの日は溜め込んだ家事をこなして、時々お酒を飲んで。
気付いたらひとつずつ着実に歳を重ねて24歳になっていた。
大きな使い道のないお金は、しばらく海外を転々と旅行できるくらい貯まってしまった。
あたしは何をしたいのだろう。
何をしているんだろう。
何を、待ち続けているんだろう。
期待できないことは分かっているのに。