恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
――サヨナラ、海斗
あれから、6年。
奇跡を待ち続けて、片手では足りない数の歳を重ねてしまった。
東京へ出て来てから、一度も島へは帰っていない。
成人式にさえ出席しなかった。
ただ待ち続けて、ひたすらに待ちわびている。
起きない奇跡を、ずっと、この街で。
記憶を取り戻した彼が迎えに来てくれるんじゃないか。
毎日そんなことを信じて待っていたら、24歳になっていた。
「……ばかみたい」
あと何年。
あたしは待ち続けるつもりなんだろう。
あたしも全部忘れることができたら、どんなに楽になれるのかな。
携帯で時間を確かめると、20時半を過ぎていた。
明日は久し振りに休みだ。
どうせならもっと飲んでやろう。
飲んで飲んで飲みまくれば、あたしの記憶もどこかに飛んで行ってくれるのかな。
どこかに飛んでってくれないかな。
あたしの記憶。
そしたらもう、待ち続けなくて済むのに……。
ところが。
「あー来た来た。大丈夫か、須藤」
トイレから戻ったあたしを待っていたのは、思い掛けない再会だった。
あれから、6年。
奇跡を待ち続けて、片手では足りない数の歳を重ねてしまった。
東京へ出て来てから、一度も島へは帰っていない。
成人式にさえ出席しなかった。
ただ待ち続けて、ひたすらに待ちわびている。
起きない奇跡を、ずっと、この街で。
記憶を取り戻した彼が迎えに来てくれるんじゃないか。
毎日そんなことを信じて待っていたら、24歳になっていた。
「……ばかみたい」
あと何年。
あたしは待ち続けるつもりなんだろう。
あたしも全部忘れることができたら、どんなに楽になれるのかな。
携帯で時間を確かめると、20時半を過ぎていた。
明日は久し振りに休みだ。
どうせならもっと飲んでやろう。
飲んで飲んで飲みまくれば、あたしの記憶もどこかに飛んで行ってくれるのかな。
どこかに飛んでってくれないかな。
あたしの記憶。
そしたらもう、待ち続けなくて済むのに……。
ところが。
「あー来た来た。大丈夫か、須藤」
トイレから戻ったあたしを待っていたのは、思い掛けない再会だった。