恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
――君の横顔が世界遺産に見えたから
運命なんてただの偶然が積み木のように積み上げられたものの結末だ。
彼の人を食ったような目つきを見て、単純にそんなことを思った。
どんなに祈っても、願っても、会えない人には会えないのに。
会ってしまう時は会ってしまうのだ。
なら、と思う。
誰も運命に逆らえないのなら、と。
この思い掛けない再会が運命なのか、ただの偶然なのかと問われたら。
あたしは、前者だと思った。
榎本潤一。(えのもと じゅんいち)
彼を見て、あたしは直感したのだ。
感なのだから、明確な理由はない。
でも、確かに思った。
この人物はこれからあたしの人生に大きく関わってくる、と。
「よろしく」
馴れ馴れしく握手を求めてきた彼は、わざとらしく一眼レフカメラをひょいと掲げて笑った。
「初めまして、須藤陽妃さん」
口元に含み笑いを浮かべる彼は、まるであたしを試すように微笑む。
初めまして、か。
そうきたか。
つい数時間前に会ったばかりなのに。
この男は嘘つきだ。
そして、あたしも嘘つきだ。
「初めまして、榎本さん」
初めまして、をわざと強調してあたしは彼の手を握り返した。
まるで駆け引きだった。
運命なんてただの偶然が積み木のように積み上げられたものの結末だ。
彼の人を食ったような目つきを見て、単純にそんなことを思った。
どんなに祈っても、願っても、会えない人には会えないのに。
会ってしまう時は会ってしまうのだ。
なら、と思う。
誰も運命に逆らえないのなら、と。
この思い掛けない再会が運命なのか、ただの偶然なのかと問われたら。
あたしは、前者だと思った。
榎本潤一。(えのもと じゅんいち)
彼を見て、あたしは直感したのだ。
感なのだから、明確な理由はない。
でも、確かに思った。
この人物はこれからあたしの人生に大きく関わってくる、と。
「よろしく」
馴れ馴れしく握手を求めてきた彼は、わざとらしく一眼レフカメラをひょいと掲げて笑った。
「初めまして、須藤陽妃さん」
口元に含み笑いを浮かべる彼は、まるであたしを試すように微笑む。
初めまして、か。
そうきたか。
つい数時間前に会ったばかりなのに。
この男は嘘つきだ。
そして、あたしも嘘つきだ。
「初めまして、榎本さん」
初めまして、をわざと強調してあたしは彼の手を握り返した。
まるで駆け引きだった。