恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
閉店まであと3時間もないし、フタッフの中でもいちばん信頼していた朝比奈小春(あさひな こはる)に店を任せることにした。


「ごめんね、小春。今日はもう戻れないから。後はよろしくね」


「分かりました。大丈夫です。お疲れ様です」


年下だけどしっかり者で頼りになるし、仕事も真面目な子だ。


年が近いこともあって、プライベートでも飲みに行く小春とは、何だかんだと長い付き合いになる。











「ほら、私、この通りこっちに付きっ切りでしょう。だからもう陽妃に任せようと思ってね」


前から考えていたことだ、と律子おばさんは言った。


「トルテの店長、引き受けてくれない?」


「あたしが?」


「そう。陽妃に任せたいの。それで、チーフは小春にと思うんだけど」


「でも、あたしまだ24だし」


「なに言ってんの。“もう”でしょ。それに陽妃と小春は良いコンビだし。仲良いじゃない、あんたたち」


「それは……そうだけど。でも……」


と煮え切らない態度のあたしに、


「とにかく小春にも話してみて」


律子おばさんは半ば強制的に言い切った。


「返事は今月中に聞かせてね」

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