恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】
立ち上げに協力して欲しい、と。
「陽妃が北海道でも福岡でも、小春が北海道でも福岡でもいいの。まずは開店から1年を目処に店長として、行ってもらいたいのよ」
「……原宿は? 誰が店長で誰がチーフやるの?」
「こっちはもう軌道に乗って安定してるし。もちろん誰でもいいってわけじゃないけど、何とかなるから」
「……でも、急過ぎる。年明けには行かなきゃいけないってことでしょ?」
椅子にもたれて小さくため息をもらすあたしに、律子おばさんが聞いてきた。
「彼。榎本さん、いつ帰国予定だっけ」
「今月。もうすぐ帰って来ると思う」
「そう。返事は? 決めたの?」
こくっと頷くと、律子おばさんはあたしの表情から察したのか、にっこり微笑んだ。
「もう陽妃ひとりの問題じゃないか。ごめんごめん。でも、何年もずっとってわけじゃないから。とりあえず1年。前向きに考えてみてくれない?」
「……ん」
「彼が帰国したら相談してみて。小春には私から今週中に話しておくから」
「うん」
cafe Torteを出て、予約してあるレストランに着いたのは、約束の20分前だった。
席に案内されると、まだ海斗たちの姿はなかった。
「陽妃が北海道でも福岡でも、小春が北海道でも福岡でもいいの。まずは開店から1年を目処に店長として、行ってもらいたいのよ」
「……原宿は? 誰が店長で誰がチーフやるの?」
「こっちはもう軌道に乗って安定してるし。もちろん誰でもいいってわけじゃないけど、何とかなるから」
「……でも、急過ぎる。年明けには行かなきゃいけないってことでしょ?」
椅子にもたれて小さくため息をもらすあたしに、律子おばさんが聞いてきた。
「彼。榎本さん、いつ帰国予定だっけ」
「今月。もうすぐ帰って来ると思う」
「そう。返事は? 決めたの?」
こくっと頷くと、律子おばさんはあたしの表情から察したのか、にっこり微笑んだ。
「もう陽妃ひとりの問題じゃないか。ごめんごめん。でも、何年もずっとってわけじゃないから。とりあえず1年。前向きに考えてみてくれない?」
「……ん」
「彼が帰国したら相談してみて。小春には私から今週中に話しておくから」
「うん」
cafe Torteを出て、予約してあるレストランに着いたのは、約束の20分前だった。
席に案内されると、まだ海斗たちの姿はなかった。