だから放っておけねーんだよ。
怒りに任せて飛び出してきたけど…
旭に運んでくれたお礼も言ってない。
も、戻ろうかな…
そう思って立ち上がろうとした時、誰かが私を支えた。
「……せ、先輩。」
「大丈夫?葉月ちゃん。なんか顔色悪いよ…?」
私が立ち上がるのを支えてくれたのは、青山先輩だった。
「だ、大丈夫です…」
「ちょっと、座ろうか。」
先輩は私を近くの椅子に座らせた。
先輩は、私が泣いているのにも気づいていたはずなのに何も言わずに側にいてくれた。
「葉月ちゃん…俺が勝つから。」
私は驚いて顔を上げた。
なんで今それを言うんだろうって思ったけど、先輩はきっとさっきの私と旭のやり取りを目撃してたんだ。
「…俺は星野には負けない。星野には渡さない。」
「せんぱ……」
「俺は葉月ちゃんを泣かせたりはしないから。」