だから放っておけねーんだよ。
「あ、あぁ!それって私がよく旭の隣にいるから、そう見えるだけだよ!そういう勘違い、よく言われるし。」
細かく訂正しながらも、気が動転しているのが自分でもわかる。
だって、大山さんが冗談言ってるような表情じゃなかったから。
「それは違う。勘違いしてるのは、葉月ちゃんだよ。」
「…え」
「私、それ知った時悔しかった。やっぱり最後に勝つのは幼馴染なんだって。でも認めたくなくて…一か八かで告白したの。
そしたら、案外すんなりとOKもらえて。」
「それは…!それは、旭が大山さんのこと好きだったからでしょ…?」
「違うよ!私、旭と付き合っていても旭が私を好いてくれてるって一度も感じたことなかった。
もしかしたら、好きになる努力をしてくれてたのかもしれない。でも、旭が楽しそうに話すのはいつも葉月ちゃんのことばっかりだったよ!」
大山さんは、泣き出した。
「私が二人の間に入る余地は最初からなかったんだって思って…。だから、この前私からフったの。旭を。」
「え、大山さんが?」
ウソ。てっきり私…旭がフったのかと思ってた…。
「だから、お願い。旭のこと…もう少し見てあげてよ、葉月ちゃん。旭もそれを望んでる。」
「で、でも………大山さんの気持ちは…」
「私、今でも好きだよ。旭のこと。
でも…無理して笑う、旭は大嫌い。」
大山さんはそう言うと、涙を拭いて走って行ってしまった。
「お、大山さん!」
大山さんが私の声に振り向くことはなかった。