だから放っておけねーんだよ。
「ねぇねぇ、そう言えば星野くん大丈夫かな?頭押さえてたよね?」
「あ、そう言えば…」
まだお礼も言ってなかった。
「ちょっと探してくる!」
私は旭が行った方向へ走り出した。
あいつ…頭打ったならそう言えばいいのに…!
強がっちゃって…!
しばらく旭を探していると、体育館裏の木陰で旭を見つけた。
木陰にしゃがみこんで、頭を氷で冷やしている。
旭…。
「ちょっと貸しなよ。」
「うわっ、葉月!」
私は旭から氷の袋を取り、旭の頭を冷やした。
「…すげぇよな。青山先輩の打つ球、めちゃくちゃ速いんだぜ。だから軟式でも当たるとそれなりに痛いんだよな。」
「…じゃあなんでかばったの?」
「なんでって…そりゃまぁ、お前も一応女子だし?でも、当たった方がよかったかもな。運動オンチが治ったかもしれない。」
「うるさいわ、バカ。」
私は氷を持った手で旭をの頭をぐりぐりした。
「いてぇって!オニかよ。」
「あさひ!!!」
「うわっなんだよ。大きな声出して。」
「…ありがと。」
やっと出てきた言葉。
旭相手だと、改まってありがとうも照れくさい。