だから放っておけねーんだよ。
「ニャーン」
ねこが不安そうに私を見上げて鳴いた。
その時、誰かがゴミを捨てに来た。
「あ、あの!このねこの飼い主さんを探して…あっ!せ、先輩!!!」
ゴミを捨てに来たのは、テニス部で一緒の青山先輩だった。
「あれっ、葉月ちゃんじゃん!偶然だね。…あ、クルミ!」
先輩は私の抱いているねこを指差して言った。
「えっ?このねこ、知ってるんですか?」
「知ってるもなにも、俺んちのねこ。一昨日から脱走しててさ。」
クルミと呼ばれたねこは私の腕を離れて青山先輩に飛びついた。
「おい、探したぞ。」
青山先輩は嬉しそうにクルミの頭を撫でた。