だから放っておけねーんだよ。
「あのさ、葉月ちゃん」
「はい?」
夕日に照らされる道。
二つ並ぶ影。
誰もいない路地裏にさしかかったところで、先輩がおもむろに口を開いた。
「…好きな人とかっているの?」
「えっ!や、やだなぁ先輩。いませんよ。」
とは言いつつも、急な質問に若干たじろぐ。
「そう?それならよかった。」
「…どうしたんですか?急に。」
「ううん。もし葉月ちゃんに好きな人がいたら、必然的に俺が諦めなきゃだなーって思って。」
先輩…まだ私のこと好きでいてくれるんだ。
先輩の言葉に少し心が弾んだ。