蝉鳴く季節に…
でも、一番辛いのは杉山くんなんだよね。


杉山くんは逃げずに、病気と向き合っているんだ。




だから、私も逃げちゃいけないんだって思う。

私は、自分から逃げていたから…。




向き合うと、何が良くないのかがわかる。

自分が変わるのを体感できる。

それを素直に喜べる。




杉山くんが教えてくれた事。










ベッドの背もたれに寄り掛かる杉山くんは、見つめる私の顔を覗き込んで笑う。




「何?ぼ〜っとして」

「え?してた?」

「明日から夏休みで浮かれてんじゃね?」

「浮かれてなんてないよ」




嘘。

ホントは浮かれてる。


だって明日からは、いつもより杉山くんと過ごせる時間が増えるから。






でも、少し迷ってる。





杉山くん、身体が辛そうだから、私が来る事で疲れたりしないかなぁって。


思うんだ。





杉山くんは、私が来ると、いつも起き上がってしまうから。



眠ってもいいよって言っても、眠ったら話できないじゃんって笑うんだ。

今日って日は、一生に一度しか無いんだからって。





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