蝉鳴く季節に…
笑う杉山くんは、ゆっくりと右手を肩まで上げた。
静かに、私へとその手を振る。
「ありがとな、水谷」
その笑顔が眩しくて、私はその笑顔を見れた事が嬉しくて。
笑い返して、手を振った。
また明日ねって、手を振り返し、病室を後にした。
嬉しかったんだ。
信じれるって、実感したから。
杉山くんは、必ず元気になるって。
私、単純だったのかな?
それとも、鈍感だったのかな?
“ありがとな、水谷”
まさかそれが、杉山くんと交わす最後の言葉になるなんて、予想できなかったんだから。
次の日。
夏休みの始まりの日。
朝6時40分。
私は…………明け方に、杉山くんが息を引き取った現実を知った。
.
静かに、私へとその手を振る。
「ありがとな、水谷」
その笑顔が眩しくて、私はその笑顔を見れた事が嬉しくて。
笑い返して、手を振った。
また明日ねって、手を振り返し、病室を後にした。
嬉しかったんだ。
信じれるって、実感したから。
杉山くんは、必ず元気になるって。
私、単純だったのかな?
それとも、鈍感だったのかな?
“ありがとな、水谷”
まさかそれが、杉山くんと交わす最後の言葉になるなんて、予想できなかったんだから。
次の日。
夏休みの始まりの日。
朝6時40分。
私は…………明け方に、杉山くんが息を引き取った現実を知った。
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