蝉鳴く季節に…
頑張れって、言ってくれているんだよね?




明日も頑張れって。








杉山くん、前向きだったもんね?



諦めなかったんだもんね?






あなたの瞳には、最後まで………明日が映っていたんだね。










『もっと自分に自信持ちなよ』

屈託無く、笑う笑顔。




『褒められたら、ありがとうだよ』

学びの言葉。




『来てくれて嬉しいよ』

素直な歓迎。




『走りたいなぁ…蜃気楼の一部になるくらいに』

希望、未来。




『俺も、頑張らなきゃな』

本の表紙を撫でる、細い指。




『ホントは、こうしたかったんだ』

背中から伝わる、杉山くんの心音。




『水谷、こっち向いてよ』

唇に伝わる、命の温もり。




『水谷の手、何で温かいんだろ』

安心した様な呟き。




『水谷と出会えて良かった』

嬉しい言葉。











『ありがとな、水谷』






眩しいくらいの……この世の不安…全てを消すくらいの……力強い笑顔……。














ねぇ、杉山くん。




私、幸せだった。

幸せだったよ。



たった三週間だったけれど、あなたと過ごせて、ホントに幸せだったの。




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