蝉鳴く季節に…
好きっていう言葉が無くても、それに気付けないくらいに、幸せだったの。
杉山くんを好きになれて、良かった。
出会えて良かった。
本当に本当に………良かった。
おばさんにお礼を言い、私は会場を出た。
待ってましたとばかりに身体にまとわりつく、夏の蒸した空気。
青い空、高い空。
流れる涙を手の甲で拭い、吸い込まれる様に深呼吸をした。
閉じた瞳、耳に響く力強い蝉の声。
『蝉は八年土の中にいて、たったひと夏の太陽を仰ぐ為に出てくるんだ』
白い部屋。
温い風に煽られるカーテン。
窓の外、揺れるポプラの枝。
『何か、蝉ってかわいそうだね』
『そう?俺は眩しいと思うよ?限りある命だからこそ、あいつらは命一杯鳴くんだ』
眩しいね…。
杉山くん、あなたも眩しかったよ。
頑張ったね。
一杯、鳴いたね。
諦めないで、走ったね。
お疲れ様。
お疲れ様、杉山くん。
そして、ありがとう……。
杉山くんを好きになれて、良かった。
出会えて良かった。
本当に本当に………良かった。
おばさんにお礼を言い、私は会場を出た。
待ってましたとばかりに身体にまとわりつく、夏の蒸した空気。
青い空、高い空。
流れる涙を手の甲で拭い、吸い込まれる様に深呼吸をした。
閉じた瞳、耳に響く力強い蝉の声。
『蝉は八年土の中にいて、たったひと夏の太陽を仰ぐ為に出てくるんだ』
白い部屋。
温い風に煽られるカーテン。
窓の外、揺れるポプラの枝。
『何か、蝉ってかわいそうだね』
『そう?俺は眩しいと思うよ?限りある命だからこそ、あいつらは命一杯鳴くんだ』
眩しいね…。
杉山くん、あなたも眩しかったよ。
頑張ったね。
一杯、鳴いたね。
諦めないで、走ったね。
お疲れ様。
お疲れ様、杉山くん。
そして、ありがとう……。