蝉鳴く季節に…
4
「荷物、ここでいい?」
「うん、サイドテーブルの上で」
病室に紙袋を運び、指定された場所へと置く。
病室は、やけに殺風景に見えた。
紙袋の隣、活けられた小さなガーベラの鮮やかなオレンジ色が、白い空間の中の唯一のカラーみたいにさえ感じた。
開け放たれた窓から入り混んでくる少し温い風が、白いカーテンを波の様に揺らしている。
まるで、花嫁さんの髪にかかるヴェールみたい。
「暑かったろ?ジュース飲む?」
「え?あ……うん…」
「あまり冷えてないけど…オレンジとコーラどっちがいい?」
「じゃあ…オレンジで…」
ベッドの端に腰を降ろした杉山くんは、背中を丸めてサイドテーブルの下にある小さな備え付けの冷蔵庫を開けている。
白いTシャツに包まれた背中は、更に小さく見えた。
「座ったら?」
笑いながら、丸椅子を勧められた。
差し出されたオレンジジュースを受け取り、椅子に座る。
杉山夏生を見るだけ、そんな好奇心から受けた用事。
済んだらすぐ帰るつもりだったんだけど……。
何で私、くつろいでるんだろ。
「うん、サイドテーブルの上で」
病室に紙袋を運び、指定された場所へと置く。
病室は、やけに殺風景に見えた。
紙袋の隣、活けられた小さなガーベラの鮮やかなオレンジ色が、白い空間の中の唯一のカラーみたいにさえ感じた。
開け放たれた窓から入り混んでくる少し温い風が、白いカーテンを波の様に揺らしている。
まるで、花嫁さんの髪にかかるヴェールみたい。
「暑かったろ?ジュース飲む?」
「え?あ……うん…」
「あまり冷えてないけど…オレンジとコーラどっちがいい?」
「じゃあ…オレンジで…」
ベッドの端に腰を降ろした杉山くんは、背中を丸めてサイドテーブルの下にある小さな備え付けの冷蔵庫を開けている。
白いTシャツに包まれた背中は、更に小さく見えた。
「座ったら?」
笑いながら、丸椅子を勧められた。
差し出されたオレンジジュースを受け取り、椅子に座る。
杉山夏生を見るだけ、そんな好奇心から受けた用事。
済んだらすぐ帰るつもりだったんだけど……。
何で私、くつろいでるんだろ。