蝉鳴く季節に…
「はい」

「あ…ありがと」



開けられた缶を受け取り、私は更に喉が張り付く様な乾きを覚えた。







顔が熱い…。











そうだ、何か話さなくちゃ。
不自然だって思われるよね?

でも……何を話せばいいの?
初対面だし、わかんないよ。




あ!そうだ!
恭子が同じ中学って言ってた。

使おう!







「あのね」

「あのさ」








……カブった。









「何?」

「え…ううん、杉山くんから…どうぞ」

「え?いいよ。水谷から言えよ」

「私は、たいした話じゃないし…」

「何それ?」






杉山くんは、また笑う。


よく笑う人だなぁ。








「いや、今学校ってどうかなと思ってさ」




どうかって…。





「普通…かなぁ」

「普通?」

「うん、授業受けて、お昼食べて…」

「普通じゃん」

「うん、普通って言った」

「まぁ、聞いたけどさ」









何だろ。


杉山くんは、何を聞きたいんだろ。





よくわかんないけど、笑う横顔が淋しそうに見えて、普通っていう返答が適当すぎたのかなと悪い様な気がした。





どうしよう……。





< 15 / 131 >

この作品をシェア

pagetop