蝉鳴く季節に…
いくら考えてもわからなかった。






私は、恋をした事が無いから。

誰かを好きになった事なんて無いから。








私は、自分に自信が無かった。

梨絵みたいに活発で明るい訳じゃない。
恭子みたいに大人っぽくて美人じゃない。



二人が友達じゃなかったら、私は教室の隅に隠れている様な女子だったに違いない。





取り柄も無い、かわいい訳でも無い。

いつも二人の後ろに隠れている様な私には、彼氏どころか恋なんてできる訳が無い。




梨絵達は、その気になれば千秋にはすぐ彼できるのに…。
なんて言ってくれるけれど、存在自体が目立つ梨絵達から言われると、慰めの様に受け止めてしまって……。

梨絵みたいに活発で、恭子みたいに美人なら…なんて、無いものばかり求めて、それを理由にしてしまったり……。







卑屈だった。









あの頃の私は、劣等感と卑屈が入り混じった、嫌な女の子だった。







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