蝉鳴く季節に…
7
病院へ向かう途中、私は花屋に寄った。
色んな花が並ぶ店内。
買ったのは、ピンクのガーベラとかすみ草。
杉山くんの病室の花が、淋しそうだったのを思い出したから。
オレンジ色はかわいいけど、一本だけじゃ、やっぱり色が足りないよね。
ガーベラの花言葉は、希望と前進って本で見たのをふと思い出した。
杉山くんの病気が何だかは分からないけど、少しでも励ましになればいいな。
参考書と花を握り締め、私は病室へと向かう。
ピカピカに磨き上げられた廊下に、自分の足が写り込むのを見つめながら進んでく。
病院の床っていつもきれいなのに、滑って転ぶ人って見た事が無いなぁ…なんてふと思って、ちょっとのん気な自分に笑えた。
七〇五号室の前に着いた私は、ドアの影に隠れて、三回くらい深呼吸した。
昨日ほどじゃないけど、少しだけドキドキしてた。
心の中で、杉山くんに伝える言葉を、呪文の様に繰り返す。
先生が参考書を一冊、渡し忘れたみたいで、届けに来たの。
先生が参考書を………。
これも三回くらい繰り返して、私は気合いを入れる。
どうしてこんな事しちゃうのか、自分でもわからないんだけど……。
参考書を持つ手に力を込め、私は開いた病室のドアから、そっと顔だけを覗かせた。
色んな花が並ぶ店内。
買ったのは、ピンクのガーベラとかすみ草。
杉山くんの病室の花が、淋しそうだったのを思い出したから。
オレンジ色はかわいいけど、一本だけじゃ、やっぱり色が足りないよね。
ガーベラの花言葉は、希望と前進って本で見たのをふと思い出した。
杉山くんの病気が何だかは分からないけど、少しでも励ましになればいいな。
参考書と花を握り締め、私は病室へと向かう。
ピカピカに磨き上げられた廊下に、自分の足が写り込むのを見つめながら進んでく。
病院の床っていつもきれいなのに、滑って転ぶ人って見た事が無いなぁ…なんてふと思って、ちょっとのん気な自分に笑えた。
七〇五号室の前に着いた私は、ドアの影に隠れて、三回くらい深呼吸した。
昨日ほどじゃないけど、少しだけドキドキしてた。
心の中で、杉山くんに伝える言葉を、呪文の様に繰り返す。
先生が参考書を一冊、渡し忘れたみたいで、届けに来たの。
先生が参考書を………。
これも三回くらい繰り返して、私は気合いを入れる。
どうしてこんな事しちゃうのか、自分でもわからないんだけど……。
参考書を持つ手に力を込め、私は開いた病室のドアから、そっと顔だけを覗かせた。