蝉鳴く季節に…
「水谷って変な奴。話しててわかるけど、すげぇ謙遜するのな?でもさ、そんなに自分を小さく扱わなくてもいんじゃね?」

「だって…私なんて」

「それだよ、それ」




杉山くんは、軽く眉を跳ね上げた。






「自分って個性は、世界に一人だけだろ。オンリーワンだろ」

「一人だけ?」

「そう、一人だけ。それだけで価値じゃん」

「でも、私は何も取り柄無いし…価値とか言われても…」

「全てが取り柄で価値決まる訳じゃないよ?取り柄は結果、努力した結果。大切なのは努力するプロセスなんじゃない?その過程で何か見つけられるかもしれないだろ?」

「でも…努力って目標に向かってするものでしょ?私、目標無いし」

「目標なんて何でもいんだよ。言ったろ?過程が大事なんだって。違うものを見つけたら、いくらでも方向転換していいんだよ。新たな目標を作ればいいんだ。同じ目標を持ってたって、その過程で目標は成長してくうちに変わるんだよ。出来る事が増えていけば、目標は変わるだろ?」

「…………」

「結果は変わるんだよ。変えるなら、悪いより良い方がいいじゃん」

「…………」








………すごいな。
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